関西空港にみるモノづくりと自然

From :造形工作師:キッシー


ニュースでお聞きしているかと思いますが、日本の玄関口としての国際空港の関西国際空港は、台風21号の影響による高潮で4日に滑走路やターミナルビルが浸水、全面閉鎖となり一部が停電。また空港への連絡道路に大型タンカーが風に流され橋にぶつかり大きくずれてしまいました。その台風のパワーもさることながら、人工物の脆弱さがまざまざと見せつけられましたよね。


関空のように空港といえば高い建物や障害物のない広い敷地や人工的に海を埋め立てて作られているのが多いかと思います。はたして人工的に埋め立てるといってもどのようにして海を埋めて作っているのか?がひとつの疑問として浮かび上がってくるのではないでしょうか。


単純なイメージとして単にどっさりと砂を埋め込んで作っているようには見えますが、実際にはかなりの深さまでしっかりと杭を打ち沈下しないように作られています。


ではどのようにして作っているのか探ってみたいと思います。

1:地盤をつくる


まず空港周辺の海底は、海面から20m前後の深さのところにあります。海底にはやわらかな粘土層が広がっており、その深さはなんと25mもあります。空港をつくるにはまずこのやわらかな層をなんとかして固めて、しっかりとした地盤を作ることが不可欠です。そのために直径40cm、長さ25mの砂の柱を120万本も海底に打ち込まなくてはなりません。上から埋め立て用の土をのせると、この砂の柱を通って水がしみ出て、粘土層がちぢんで固まっていく、というわけですね。



2:囲いをつくる


囲いは埋め立てる土がまわりに逃げないように閉じ込めるためと、海がにごるのを防ぐ役割がある。また完成後は空港島を高潮や高波から守る役目を果たす。囲い自体は砂・石やブロックを積み上げて作られている。



3:埋め立ててつくる


埋め立て用の土は長さが50mもある土運船と言われる大型船で運び、囲いの中にまんべんなく入れていきます。運び込む土の量は土運船で8万3000隻分にもなります。

土は大阪府・和歌山県・淡路島から運んできました。ダンプトラックで運ぶとしたら、約4千万台分ものダンプが必要という計算になり、埋め立ては気が遠くなるほど長い期間がかかることになります。(※海に埋め立てる土は結局、陸の山を崩してつくるんです。)

空港島の中心部のあたりはダンプトラックなどで運びブルドーザーでならしていきます。(※ちなみに土の量はエジプトのクフ王のピラミッド70個分!70棟ピラミッドを作れるってことですね)


はたしてこんな大量の土砂はどこからどのように運ばれてきたのでしょうか??


先ほどの3地区の「土取場(どとりば)」と呼ばれる採取地からの土砂運搬は、積出し用桟橋までベルトコンベアを設置して使用。桟橋からは土運船(どうんせん)で造成地まで運んで投入します。土運船は、水深のあるところで船底を開放し、一気に海中に土砂を直接投入できる仕様のものが使われたそうです。


 土砂採取によって山々は広範囲に渡って削られました。それらの跡地は、現在、企業用地や太陽光発電所、多目的公園などに整備して再利用されています。


 淡路島の跡地のひとつに、建築家の安藤忠雄氏が自然環境を再生させるプロジェクトを立ち上げました。植林によって緑を回復させ、景観を活かした複合リゾート施設「淡路夢舞台」が建設されています。その一角を成す、階段状に作られた100個の花壇「百段苑」は、春になると色とりどりの花が開花してとっても美しいスポットとなっている。




4:空港ビルをつくる


埋め立てた地盤は決して固くないため砂の杭をいれて固めたあと、コンクリート盤をしきつめて基礎にしていきます。その基礎の上にジャッキつきの柱を立てていきます(※空港ビルの柱は900本で、柱の根元にジャッキがつけられている)。どこかの部分が沈むと柱全体をジャッキで持ち上げ、沈んだ分だけプレートをはさんでいきます。

そして、屋根や壁をつけていき、空港ビル建物自体は完成。

もう一つ建物施設を作ります。

それは飛行機を動かすのに大事な燃料貯蔵施設のオイルタンカーバース。

(※関空の貯蔵タンク1基には空港をりようするすべての飛行機が積み込む燃料の1日分が入ってます。このようなタンクが10基そなえてあります)



5:滑走路をつくる


滑走路は約400トンもあるジャンボジェット機の重さに耐えなくてはなりません。そのために1m以上の厚さで舗装してつくります。

(※一般的には市町村道が厚み5cm以上・県道が5cm×5cmの2層舗装・国道も同じく2層舗装ですが、場所によっては10cm×5cm・10cm×10cm・軟弱地盤では30cm以上(3層)と言うところがあります。コンクリートの場合、車道に使えるのは市町村道だけですので、鉄筋入りで最低10cmからだと思います。(駐車場が10cm以上の厚みが必要なため))




まとめ


このような作る流れをみてもかなりしっかりと作られています。ただ、それだけどこかの自然を削っていることを忘れてはいけませんよね。いくらしっかり作ったとしても所詮人工物。自然のパワーにはかなわないのですね。だからこそ人間主観で強引に人工的に作るのでなくもっと自然と共生できるモノづくりをしていきたいものですね。

アースリートデザイン

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