FRPのモノづくりで自然を考える

From:造形工作師:キッシー



ここ最近、とんでもなく大きな台風が頻繁に日本にも直撃するようになりましたよね。そして毎回なにかしらの甚大な災害が起こってしまいます。そんな災害なんかも想定はしているものの太刀打ちできないことがあり、自然の猛威には到底かなわないですよね。

一方で、なんとかその自然の力を生かしながら、モノづくりの技術の進化にもつながっていることがあります。


たとえばスポーツ分野ですと、写真のようなサーフィンみたいな分野では、自然が作る低気圧(台風)が作る大きくなり大波(ビッグウェーブ)に乗るアスリートサーファーがいます。なぜにここまでしてこんな大きな波に乗るのか?乗れるのか?

※参考→NHK「悪魔の波に魅せられた人々 〜The Big Wave Surfers〜」


これはひとつに、大自然を相手にするスポーツだからこその観点ですが、


「自然と対峙し、人間の限界に挑戦する」


という想いがこめられている。

人間としての体力的な限界を追い求めていることもあるかと思いますが、人類の道具としてのモノづくりの技術の結晶の限界への挑戦でもあるんですね。


実際にそんな大きな波に乗ることはなくても、サーフィンをやったことがある人なら分かる感覚ですが、低気圧(台風)なんかが来るとなぜかワクワクしてくるものなんですね。


そこで今回は、そんなサーフボードでも現在主流となっている人類が発明した”夢の素材”


FRP(Fiber-Reinforced Plastics)

Fiber=繊維 Reinforced=強化された Plastics=プラスチック

「繊維強化プラスチック」


についてご解説します。



※街で見かけるマネキンもFRPで作られている(※著者は元マネキンデザイナー)

※今だにほぼ手作りで作られている。


【FRPは人類にとって必要不可欠な素材】


意外に知られていませんが、FRP樹脂は今や人類にとって、無くてはならないものになりました。生活に関する様々なものに使われているのはもちろんのこと、自動車、電気設備、宇宙開発などあらゆる分野で使われています。このように、それなしでは成り立たないほど人類の営みと密接に関わり合っているFRPは今やいろんなところで使用されているんですね。


現在では多種多様に応用され、たとえば


●車のパーツ

●船

●飛行機

●スポーツ用品

●お風呂!

etc


もともとは第二次世界大戦中にアメリカ海軍が実戦投入したFRP樹脂製の救命ボートが、初のFRP樹脂実用化だったと言われています。FRP樹脂開発につながる樹脂の歴史は、20世紀初頭からですので歴史は以外に浅いんですね。


【ではなぜそんなに応用されたのか?】


一言でいうと、

鉄よりも強くアルミより軽く、錆びない」

につきます。


他にも、

●成型の自由度が高い(フィギア、マネキン人体製作などに使用)

●耐久性がいい(サーフボードなどに使用)

●対候性がいい(スポーツ競技場スタンドなどに使用)

●腐食しにくい(化学プラントタンクなどに使用)

●電気を通しにくい(電波関連の施設、プリント基板などに使用)

●断熱性(お風呂などに使用)




【FRP樹脂の種類】


FRPといっても2種類あって、


GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)

ガラス繊維強化プラスチック(ガラス繊維強化樹脂)。

ガラス繊維を使い、ポリエステル樹脂、・ニルエステル樹脂・エポキシ樹脂・フェノール樹脂などによって固めたもの。最も一般的なFRP樹脂がこれにあたる。

※一般的なサーフボード、フィギア、マネキン、お風呂なんかはこれにあたる。



CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)

カーボン繊維強化プラスチック(炭素繊維強化樹脂)。

中に入れる繊維としてカーボン(炭素)繊維を用い固めたもの。

金属に対し同程度の強度と剛性を確保し、より軽量にできるという特長。

その分コストはかなり高くなる。

※高級自動車、高級スポーツ用品、宇宙船などはこれを使う。




【ただ現在の問題点として、、】

 

「環境に優しくない」


という問題がある。

なぜならFRPといえども「プラスチック」の部類に入るからである。


FRPは繊維とプラスチックの合成素材なので、素材の分離が困難となる。

またリサイクルや廃棄処分が難しく、環境への負担が大きいのが理由のひとつなんですね。


最近では、プラスチック製ストローが海の環境破壊になるのでスターバックスなどの世界大手会社がプラスチック製品の取り扱いを廃止している動きが加速していることもある。

⇒別記事「ストローのモノづくりで自然を考える」



ただ、FRPで作られたモノ自体は大きいのでそれをリサイクルやリメイクする形で再利用するという研究も進んでいる。

くしくもさまざまなインフラや生活を便利にし、”夢の素材”であったはずのFRPの役目を終えた処理方法を考えなければならない時代にもなっていますよね。


だからこそ今一度、実際にサーフィンのようなアウトドアスポーツやDIYのようなものづくりを通して自然と対峙し、個人の感性レベルでの問題認識と実際の行動が大切となるのではないでしょうか。 

アースリートデザイン

造形工作師/キッシーの造形デザイン&工作教室

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